はじめに
いざ分析作業をスタートさせると、想定通りに事が進むことはまずありません。 「絶対にあるはずだ」と思っていたデータが存在しなかったり、自分のスキルでは処理しきれない複雑な計算が必要になったりと、必ず壁にぶつかります。
計画通りに進まないとき、私たちはつい焦り、立ち止まってしまいがちです。しかし、プロフェッショナルである以上、そこで思考を止めるわけにはいきません。
今回は、分析の過程で直面する「トラブル」をいかに乗り越え、プロジェクトを前に進めるかについて考えてみたいと思います。
著書の要点を噛み砕く
分析を進める上で遭遇するトラブルは、大きく2つに分けられます。著者はそれぞれに対する具体的な対処法を提示しています。
1つ目のトラブルは、「欲しい数字や証明が出ない」というケースです。 データが存在しない、あるいは取得できない場合、以下のアプローチで乗り切ります。
・構造化して推定する
・足で稼ぐ
・複数のアプローチから推定する
2つ目のトラブルは、「自分の知識や技では埒が明かない」というケースです。 技術的な壁にぶつかった場合は、一人で抱え込まずに以下の行動をとります。
・人に聞きまくる
・他力を活用する
・期限を切って見切りをつける

その主張をどう受け取ったか?
「欲しい数字が出ない」ときの「推定する」「足で稼ぐ」というアプローチには、泥臭さを感じると同時に、非常に実戦的な取り組みと思います。
私たちは綺麗なデータが揃うのを待ち望んでしまいますが、ビジネスの現場では「だいたいの規模感」が分かれば十分な意思決定ができることも多いものです。
フェルミ推定のように構造化して概算を出したり、実際に現場に足を運んで一次情報を集めたりする突破力こそが、分析者の真骨頂なのかもしれません。
また、「自分の知識では埒が明かない」ときの「人に聞きまくる」「見切りをつける」というアドバイスも心理的にも行き詰まっているときには重要な判断と思いました。
優秀な人ほど「自分で解決しなければ」という責任感やプライドから、時間を浪費してしまいますが、目的は「自分が賢くなること」ではなく「イシューに答えを出すこと」であることをおもいださせてくれます。
専門家に頭を下げて助けを求めることや、どうしても無理ならそのアプローチ自体に期限を設けてスパッと切り替える勇気が、結果的にプロジェクト全体を救うことになります。
トラブルを「失敗」と捉えるのではなく、プロセスの一部として淡々と「さばく」。「完璧」よりも「完遂」を目指した、実利的なアクション・判断と思います。
次回予告
次回は、分析フェーズの総仕上げとして、停滞せずにスピード感を持って結論を導き出す「⑮軽快に答えを出す」について解説します。
前の記事:「イシューからはじめよ」を読む ⑬アウトプットをうみだすとは

補足:このnoteについて
本シリーズは「イシューからはじめよ」を題材に、書籍の内容を要約・引用しつつ、筆者自身の解釈と実務経験を交えて解説するものです。
記事中で言及している内容は、著作権法第32条(引用)に基づき、公正な慣行に合致し、かつ報道・批評・研究の目的の範囲内で行っています。

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