はじめに
前回は、分析の骨組みとなる「軸」の整理について考えました。 縦軸と横軸が決まれば、あとはデータを流し込むだけ……と思いきや、ここで多くの人が陥る罠があります。「データの精緻さ」へのこだわりです。
「正確な数字が出ないとグラフが描けない」と思い込み、手元のデータ集めに時間を浪費してしまう。 しかし、本書はここで、私たちの完璧主義を戒めるように「数字の入ったイメージを先に作る」ことを求めます。
今回は、絵コンテの仕上げ段階として、どれくらいの解像度で未来のグラフを描くべきか、「イメージの具体化」について掘り下げていきます。
著書の要点を噛み砕く
軸が決まったら、そこに具体的な数字のイメージと、そこから読み取れる「意味合い」を吹き込んでいきます。
数字の入ったイメージを作る
単に「売上の比較」という枠を作るだけでなく、実際の分析・検討結果のイメージを作っていきます。 ここで重要なのは、過度な精密さは不要だということです。 例えば、あるシェアが「50%なのか60%なのか」という大枠を見極めることがイシューである場合、0.1%刻みの細かいデータは必要ありません。
意味合いを表現する
グラフやチャートは、作っただけでは分析になりません。そこにある「比較」によって生じる意味合いをはっきりさせる必要があります。 具体的には、以下の3つのいずれかを表現することになります。
- 差がある: AはBよりも明らかに優れている、あるいは劣っている
- 変化がある: 時間経過とともに増えている、あるいは減っている
- パターンがある: 特定の条件下で規則性が見られる
これらが明確になって初めて、そのチャートはメッセージを持ちます。

その主張をどう受け取ったか?
「50%か60%かを見極めるのに0.1%刻みのデータは必要ない」。 この指摘は、データ分析において「シンプルにする」という考え方として非常に共感しました。
何かの設計を行う場合、いろんな要素、変数が複雑に絡み合っており、何を変えたら何が変わるというイメージがつきにくいですが、調べようとする対象に対する変数の影響度を把握し、あまりにも関与が低いものは頭の中から外して考えるという合理的な考え方と思います。
また、パターンを見出すことも、問題の本質に迫ることのできる着眼点と思います。
「ここには明確な差があります」 「ここには急激な変化があります」 「ここには特異なパターンがあります」
そう言い切れる状態までイメージを具体化できて初めて、絵コンテは完成するのだと思います。
次回予告
次回は、作成した絵コンテを実現するために、どのような手法でデータを取得するのか、「⑫方法を明示する」について解説します。
補足
本シリーズは「イシューからはじめよ」を題材に、書籍の内容を要約・引用しつつ、筆者自身の解釈と実務経験を交えて解説するものです。
記事中で言及している内容は、著作権法第32条(引用)に基づき、公正な慣行に合致し、かつ報道・批評・研究の目的の範囲内で行っています。
書籍
※本章にはPRを含みます。

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