日本は本当に衰退したのか?― 経済成長の鈍化と成熟社会としての進化

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はじめに

かつて世界第2位の経済大国として栄えた日本。バブル期を知る世代にとって、今の低成長や賃金停滞は「衰退」と感じられるかもしれません。
しかしながら、昭和の時代は大気汚染、河川、海洋汚染、貧困、衛生上の問題、時間外労働、週休1日などの「負」の部分も多いと思います。

体育会系の部活では運動中の「水分補給」が「悪」、「根性が足りない」と言われていた時代です。昭和の常識は命に関わることもあったのです。

そういったことから、本当に、日本は衰退したのでしょうか?ということを数字をもとに振り返ってみたいと思います。
昭和・平成・令和を通じて私たちが歩んできた道を振り返ると、 日本は「経済」から「価値観」へと豊かさの基準を移した国であることが見えてきます。


この振り返りによって現在の仕事に対する「価値観」とはどのようなものか?時代は変わっていることを実感することで、仕事への取り組み方の変容の助けになれば幸いです。

日本が「衰退した」と言われる理由

経済成長の鈍化と数字の現実

1990年前後、日本はバブル経済の真っ只中にありました。GDP世界第2位、株価や地価は高騰し、世界から「Japan as No.1」と呼ばれていた時代です。 しかしその後、バブル崩壊と長期デフレにより、経済は停滞期に入りました。

主な経済指標の変化

指標1990年頃2025年現在コメント
名目GDP約3.1兆ドル約4.3兆ドル世界シェア低下(中国の台頭)
一人当たりGDP約33,000ドル約34,000ドル前後為替の影響で横ばい
実質賃金指数100約90長期的には減少傾向
株価(日経平均)38,000円約39,000円名目は回復、実質では横ばい
家計金融資産約800兆円約2,000兆円高齢化による貯蓄増加

これらの数字だけを見ると、経済的な「勢い」は確かに弱まったように見えます。 しかし、それだけで日本を「衰退」と断じてしまうのは早計だと考えています。

価値観の変化がもたらした「新しい豊かさ」

昭和の時代、日本人は「エコノミックアニマル」と呼ばれるほど、働きづめの国民性を持っていました。経済は成長しましたが、その裏側で 時間と心の余裕を失っていたのも事実ではないでしょうか。

一方で、令和の日本では次のような変化が進んでいると感じます。

  • 治安が良く、街が清潔であること
  • 公共交通が正確で、サービス品質が高いこと
  • 他者への配慮と礼儀が文化として根付いていること

こうした社会的成熟こそが、海外からの高い評価につながっています。実際、観光客の口コミには、次のような声が多く見られます。

  • 「街がゴミ箱なしで綺麗」
  • 「電車が秒単位で正確」
  • 「人が親切で礼儀正しい」

経済成長そのものよりも、「社会の質」こそが日本の新しい強みになりつつあるのではないでしょうか。

個人的な話ですが、30代、40代のころは残業は月に70時間~100時間という日々では、家のことや休日に出かける気力がないという環境でした。40代になると残業代すら出なくなりました。
当時は弱音を吐くこと自体に罪悪感を感じる時代でした。
今振り返っても、その頃には戻りたくないなぁと感じています。

それに比べると、今の働き方、町並み、公共サービス、店舗の質、量、とても快適だと感じます。

世界の中での日本の新しいポジション

産業構造の変化

  • 製造大国 → 技術・品質・文化を支える国
  • 輸出中心 → 観光・知的サービス・文化発信

社会構造の変化

  • 若年人口減少 → 高齢社会モデルの先進国
  • 成長志向 → 安定・持続可能性志向

いまの日本は、かつてのように「成長を追う国」ではなく、「成熟をデザインする国」へと役割を変えつつあると考えています。 言い換えれば、静かにたたずみながら世界に影響を与える「静かな先進国」へ進化しているとも言えます。

経済の衰退か、それとも価値観の進化か?

確かに、日本の成長率は他国と比べると見劣りする場面が多いです。しかし、それは量から質へと豊かさの基準を変えた結果とも捉えられます。

かつての豊かさは、「生産量」「輸出」「GDP」といった指標に象徴されていましたが、いまの日本では、 「安心」「信頼」「清潔さ」「礼儀」「文化」といった要素がより重視されるようになっています。

このような価値観の変化は、経済的な数字には表れにくいものの、目に見えない部分で進んでいる“静かな進化”だと感じています。

当時の職場の雰囲気はとにかく、「社会は競争である。競争に勝たなければ生活はできない」と言われていた時代です。資本主義社会である以上それは正しいです。

ただ、多少性が受け入れられる現代では、勝負する土俵が多くなり、様々な分野で活躍できる選択肢が増えてきているのでは無いかと思います。

昔は「1つの会社で通用しないやつは、社会の落ちこぼれである。」と言われていた時代です。
今では、自分にあった会社、職業がある。会社で働くことが向いてなければ、フリーランスもある。というように、多くの選択肢があります。

昭和と令和――「豊かさ」の比較

時代豊かさの基準社会の特徴
昭和経済成長・生産性高度成長・競争社会・長時間労働
令和心の豊かさ・社会の質安定志向・多様性・モラルと秩序

たしかに今の日本は、経済成長の速度という意味ではゆるやかになっています。その一方で、 社会の成熟度や生活の質は世界トップクラスだといっても大げさではないと思います。 OECDや国連などの調査でも、日本は「社会的信頼度」「治安」「生活の安全性」といった指標で常に上位に位置しています。

現代日本の課題と希望

もちろん、人口減少や高齢化などの課題は避けて通れません。しかし、昭和の時代にも、公害問題、貧困、格差、年金問題、汚職など、 さまざまな社会問題が存在していました。

時代が変わるとともに、課題の形が変わっているだけとも言えます。その一方で、現代の日本企業は海外市場へ積極的に展開し、 新たな価値を生み出し続けています。 ユニクロ、キーエンス、任天堂といったグローバル企業は、その象徴的な存在だといえるでしょう。

当時住んでいた家の近くに、神田川が流れていましたが、当時はとてもきたない水が流れていました。東京湾の遊覧船、隅田川の水上バスに乗っても、汚い水を見ながら乗っていました。
ところが、最近では水が透き通っています。これは、社会の大きな進化と希望だと感じます。

まとめ:日本は「衰退」ではなく「変化」している

  • 経済の数字では見えない「社会の質」が高まっている
  • 成長社会から成熟社会への進化が進んでいる
  • 数値では測れない「人間の豊かさ」が評価されている

日本は衰退していません。静かに、そして確かに進化しています。

昭和の日本は「物の豊かさ」を追い求めた国でしたが、令和の日本は「心の豊かさ」を大切にする国へと変わりつつあります。 どちらが優れているという話ではなく、時代ごとに求められる豊かさの形が変化しているのだと思います。

今の日本は、従来のような数字だけではなく、「生き方の質」という側面から世界に影響を与える段階に来ているのではないでしょうか。

この成熟した社会の体制、考え方を欲しがる国もいると思います。日本はそいうった成熟社会のお手本になっていると思います。

そう考えると、「ポジティブ」な気持ちも湧いてきますので、その環境、社会が長く続くように、仕事と向き合うことが必要なのかなと思います。

この記事では「豊かさ」を視点に書いていますが、「豊かさ」≠「幸せ」とは言い切れません。「豊かさ」は内面から外面を見たものであり、「幸せ」は内面的なものだと思います。

参考文献・出典

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